食事療法と運動療法

食事療法と運動療法

食事療法と運動療法糖尿病の治療では、食事療法と運動療法はもっとも重要であり、基本となる治療法です。無理なく続けていくことが重要ですから、ライフスタイルや好みなどに合わせてご自分に適した内容にすることが不可欠です。糖尿病専門医医師にも相談することで、食事の楽しみを損なわない方法を知ることができます。ご家族といっしょに相談することも可能です。

糖尿病の食事療法

有効な食事療法はカロリー制限だけではありません。食事のとり方によって同じものを食べても血糖値の上がり方はかなり変わってきます。

食べる順番

同じものを同じ量食べても、食べる順番を変えることで食後の血糖値が変わってきます。食物繊維が多いものは消化を遅くするため、それを多く含んだ野菜や海藻、キノコなどを最初に食べ、血糖値を上げやすい米やパン、麺類を最後に食べるようにしてください。

ゆっくり食べる

早食いをすると肥満や糖尿病になりやすい傾向があることがわかっています。逆に、ゆっくり食事をすることで血糖値は上がりにくくなります。できるだけ時間をかけて食事をとるようにしてください。

摂取するエネルギー量

1日に必要な適正エネルギー量(kcal)は、身長と生活活動度により定められています。この適正エネルギー量の食事をとるようにすることで、統計的にもっとも長寿が期待できる理想体重に近づきます。また、内臓脂肪が減少するためインスリンが効きやすい身体になり、食事後の血糖値上昇を抑えることにもつながります。

食事成分別の血糖値への影響

炭水化物(=糖質+食物繊維)

米・パン・麺類などの主食、いも類、果物、豆類
炭水化物は含まれるカロリーの約100パーセントが血糖値に影響します。
血糖値のピークは1時間後に現れます。

たんぱく質

肉、ソーセージやハムなどの加工品、魚介類、チーズ、大豆とその製品、牛乳、乳製品
たんぱく質は含まれるカロリーの約50パーセントが血糖値に影響します。
血糖値のピークは3-4時間後に現れます。

脂質

食用油、生クリーム、ベーコン、豚ばら、ナッツ、アボガドなど
脂質は含まれるカロリーの約10パーセント以下が血糖値に影響します。
血糖値のピークは約12時間後以降に現れます。

炭水化物制限・糖質制限

炭水化物や糖質の量が多いと食後の血糖値が上がりやすいため、それを制限します。

炭水化物を多く含む食品:
米、パン、うどん・そば・ラーメン・スパゲティなどの麺類、じゃがいも、とうもろこしなど

糖質を多く含む食品:
砂糖、ケーキなどの洋菓子、まんじゅうなどの和菓子、アボガド以外の果物、野菜ジュース、フルーツジュース、コーラなどの糖質ゼロ以外の清涼飲料水など

食品交換表には、炭水化物の摂取量は総カロリーの60%以下と記されていますが、炭水化物は総カロリーの40%程度まで減らしても安全性には問題がないことがわかってきています。重要なのは、炭水化物を控えても、その分のカロリーを動物性の脂質やたんぱく質で補ってしまうと心筋梗塞などのリスクが下がりません。また、炭水化物を極端に減らした場合、糖尿病に与える影響やその有効性は証明されていないため、バランスのよい内容を心がけ、植物性の脂質やたんぱく質を積極的にとるようにしましょう。
また注意いただきたいのは、糖尿病の飲み薬やインスリンによる治療を受けている時に炭水化物や糖質を急に制限しはじめると低血糖という危険な状態に陥る可能性があります。
また尿アルブミンが30 mg/gCr以上で腎機能に合併症が出始めている場合には、炭水化物制限・糖質制限によってたんぱく質をとり過ぎて糖尿病性腎症の悪化を招く場合があります。
治療を受けている方は医師に相談してから適切な制限を行うようにしてください。

糖尿病の運動療法

糖尿病の運動療法日本人が必要とする食事総摂取カロリーは戦後から変わっていませんが、日常的に歩く機会は大幅に減ってきています。実際に自動車の保有台数の上昇と糖尿病の患者数の増加は比例しています。

運動というと激しいスポーツを思い浮かべる方が多いのですが、生活習慣病による糖尿病治療では毎日歩く距離を少し増やす、散歩を習慣化するなどが必要になります。

運動によりエネルギーを消費することで、食後に上昇した血糖値は下げることができます。

運動の効果

血糖値が下がる

運動するとエネルギーを消費して血糖が下がります。
継続した運動で筋肉が増えるとインスリンが効きやすくなり、基礎代謝量が増えて安静時の血糖値も下がりやすくなります。

血圧が下がる

運動をすることで血管が伸び縮みするため、血圧も上がりにくくなります。
これにより動脈硬化予防と血管年齢が若返る効果が見込めます。

善玉コレステロールが増える

歩数が増えればそれだけ善玉であるHDLコレステロールが増えます。

運動に適した時間

糖尿病の場合、食後30~60分あたりの時間に運動をはじめるのがもっとも効果があるとされています。ただし、これ以外の時間でも効果はもちろんあります。

運動の程度

脈拍が少し早くなる程度の軽い運動を長時間行うことが効果的です。激しい運動をする必要はありません。

具体的な運動の例
  • 1日15分の散歩を習慣づけましょう。たまに長く運動するよりも、毎日軽い運動を続ける方が効果的です。
  • 散歩が習慣になったら、少し早歩きをしてみてください。腕をしっかり後ろに引くことを心がけて振るようにすると上半身の筋肉も使うことができます。腕振りを加えると消費カロリーは20~25%上昇するとされています。
  • 1回30分の運動を週に5回以上行うのが理想です。これにより血糖値が明らかに下がることが報告されているため、これを目標に少しずつ運動量を増やしていきましょう。
  • 雨や雪などで散歩に出るのはおっくうな時もあります。そうした時には、ラジオ体操やストレッチを行ってください。特にラジオ体操は全身の筋肉を効率よく動かすことができ、ウォーキング程度のカロリー消費が見込めます。
  • ジムなどで筋肉トレーニングをすることも有効です。筋肉トレーニングで血糖値が下がることはそれほど期待できませんが、筋肉が増えることでインスリンが効きやすくなりますし、基礎代謝が上がって安静時の血糖値も下がりやすくなります。
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