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内分泌内科・甲状腺

内分泌疾患(ホルモンの病気)とは?

内分泌内科・甲状腺内分泌疾患は、ホルモンが過剰なことから起こるもの、ホルモンが不足して起こるもの、内分泌臓器の腫瘍の3つに大きく分けられます。
一般的な内科の検査では見逃されることも多く、長く原因不明の不調にお悩みになっている方が多いのですが、専門医による適切な検査と治療でほとんどの場合は改善します。

先端巨大症(末端肥大症)

先端巨大症は、脳の下垂体にできた腫瘍から成長ホルモンが過剰に分泌されることが原因となって発症します。合併しやすい高血圧・糖尿病・心肥大の治療が困難になるため、先端巨大症の治療は重要です。症状としては手足が厚ぼったくなっていき、指先が特に太くなりやすく、指輪が入らない、靴のサイズが大きくなるなどが起こり、やがて顔つきにも鼻翼や口唇が厚くなるといった変化が起こってきます。眉間の盛り上がりや前歯の間が空いてくるなどが起こる場合もあります。また静脈が浮き上がってくる、慢性的な頭痛などを引き起こすこともあります。脂汗をかく、高血圧・糖尿病・心肥大を起こしやすくなる、睡眠時無呼吸症候群などの原因にもなる場合もあります。
可能であれば外科的に腫瘍を摘出します。鼻から内視鏡を挿入して下垂体があるトルコ鞍の骨を除去して摘出が可能です。腫瘍の切除が完全にはできなかった場合には、放射線療法や薬物療法が検討されます。内科的な薬物療法としては内服薬と注射薬があり、月に1回だけという注射薬も登場しています。
治療により顔や手足の症状、糖尿病や高血圧も改善する可能性がありますが、骨に変化が及んでいる場合、そこに出ている症状が完全によくなることはありません。
また、大腸癌の発生率が高くなりますので、大腸内視鏡などで大腸癌の有無のチェックが必要です。

クッシング病

脳の下垂体にできた腫瘍が原因となって起こり、副腎刺激ホルモン (ACTH) の過剰な分泌によって、副腎皮質ホルモンも過剰に分泌されて発症します。この腫瘍はほとんどが良性ですが、同じような症状を起こしていても下垂体以外の腫瘍からACTHが分泌されていて起こっているケースも考えられるため、専門医による診断が必要です。
頬がぱんぱんに膨らんで見える満月様顔貌、にきび、頬・首・鎖骨の上・お腹など体の中心部の肥満などが起こり、皮膚が薄くなって傷がつきやすくなり、あざもできやすく、むくみなども起こります。またうつなど精神的な症状が現れる場合もあります。腎臓結石や骨粗しょう症、高血圧、糖尿病を合併することが多く、結石による血尿や骨粗しょう症による骨折なども起こりやすくなります。また、感染に対する抵抗力が弱くなるため重症化しやすく、高血圧や糖尿病の治療が困難なケースもよくあります。うつなどの症状も起きやすいため、積極的な治療が重要です。
可能であれば外科的に腫瘍を摘出します。鼻から内視鏡を挿入して下垂体があるトルコ鞍の骨を除去して摘出が可能です。手術後はしばらく副腎皮質ホルモンの不足状態になるため、内服薬で補う必要があります。腫瘍の切除が完全にはできなかった場合には、放射線療法や薬物療法が検討されます。内科的な薬物療法としては副腎皮質ホルモン合成阻害薬などがありますが、薬物治療や放射線療法で良好な状態を維持するのは難しいため、手術が第1選択となります。

プロラクチン産生腫瘍

脳の下垂体にできた腫瘍から乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが過剰に分泌されて発症します。ほとんどの場合、腫瘍は良性です。また、腫瘍のほか、胃薬や吐き気止めがプロラクチン過剰を引き起こすこともあります。
プロラクチンという乳汁分泌ホルモンが過剰に分泌される病気なので、男女によって現れる症状が異なります。ただし、男女ともに骨粗しょう症になるリスクが上昇します。
女性は月経がなくなり、乳汁の分泌が多くみられます。自然ににじんでくることもありますし、絞ると出てくる程度の場合もあります。また、不妊の原因にもなります。
男性には目立つ症状が現れませんが、性欲の低下などが現れる場合もあります。男性は自覚症状があまりないためかなり進行して、視神経が圧迫されて視野狭窄を起こすなどして発見される場合があります。
腫瘍があまりにも大きくなっている場合を除き、内服薬による治療が第1選択です。ただし吐き気やふらつきなどを起こしやすい薬ですから、慎重に服薬を行っていく必要があります。内服薬でプロラクチンの血中濃度が改善すると、腫瘍も小さくなることも期待できます。

非機能性下垂体腺腫

ほとんどは下垂体前葉に起こる良性腫瘍が原因です。突然、頭痛と視野狭窄、下垂体機能低下症の症状が現れる下垂体卒中を起こす可能性もあります。
ホルモンの過剰分泌を起こさないため、腫瘍が大きくなって視神経の圧迫が起こり、視野狭窄により発見されることが多くなっています。ただし、腫瘍による圧迫で必要なホルモンの分泌が不足することがあり、下垂体機能低下症の症状が現れてくるケースはあります。
治療では視野の回復が重要です。そのため、腫瘍を摘除する手術が第1選択になります。また、下垂体ホルモンが不足している場合には、必要なホルモンを補う薬物療法を行います。

下垂体機能低下症

多くは下垂体前葉という部分にできる良性腫瘍が原因であり、手術で腫瘍を摘除する治療が可能です。ホルモンの不足は薬で補えますので、手術では視野の回復が重視されます。手術後、ホルモンの不足が起こる可能性もあり、その場合にも必要なホルモンを薬で補っていきます。
下垂体は多数のホルモンを分泌しているため、どのホルモンが不足するかにより症状は異なります。

ACTH欠乏

副腎を刺激するホルモンが欠乏している状態です。ステロイドホルモン(コルチゾール)の分泌が低下するため、生命の維持が困難となります。自覚症状は、風邪がなかなか治らない、食欲がない、痩せてきた、顔が青白くなったなどが現れる場合もありますが、ほとんどはまったく自覚症状なく進行してしまい、危険な状態になってはじめてわかることもよくあります。

TSH欠乏

甲状腺を刺激するホルモンが不足している状態です。甲状腺ホルモンが低下するため、甲状腺機能低下症と同様な症状が現れます。

尿崩症

脳下垂体の後葉からは抗利尿ホルモンが分泌されますが、これが不足して起こります。不足を引き起こすのは腫瘍や炎症などがあります。また、精神的な問題で同様な症状が現れるケースもあり、尿崩症との区別をつけるためには入院の上、精密検査を受ける必要があります。
ある日突然発症することが多い疾患で、昼夜を問わず激しくのどが渇いて水を大量に飲み、大量の尿が出ます。特に冷たい水を飲みたくなり、1日の尿量は最低でも3リットル、通常で5リットル以上にもなります。水の摂取が不足すると体重がどんどん減り続けます。
腫瘍や炎症などの原因によって治療法は変わりますが、原因を取り除く治療が不可能な場合には抗利尿ホルモンと同じ作用を持つ点鼻薬や内服薬により尿量を減らしていく治療を行います。

副腎偶発腫瘍

クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、副腎がん などの可能性があり、診断では腫瘍がホルモンを過剰に算出していないか、悪性腫瘍が疑われる可能性はないかをしっかりみていきます。また、副腎のホルモン過剰は高血圧の合併が多いため、高血圧がある場合には注意が必要です。腹部のCTやMRI検査を受けた際に、副腎に腫瘍が偶然みつかるケースがあります。病的なものである可能性はあまりありませんが、治療が必要な場合もありますので、内分泌の専門医を受診してください。
また、腫瘍は大きくなる速度が問題にされるため、経過観察の場合も数ヶ月後にCTなどで副腎の大きさを再検査することが重要です。

原発性アルドステロン症

副腎皮質から鉱質コルチコイドであるアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されて起こります。良性腫瘍から生じる場合もありますが、両側の副腎全体から生じる過形成によって起こることもあります。高血圧患者の2~5%は原発性アルドステロン症が原因になっていると考えられています。
高血圧が主な症状であり、長く高血圧の治療を続けていた方が精密な内分泌の検査を受けてはじめて原発性アルドステロン症だとわかるケースもあります。血中カリウム濃度の低下が起こりやすく、大きく低下すると脱力症状が起きて手足に力が入らなくなる場合があります。
良性腫瘍が原因の場合には、手術が有効です。両側の過形成が原因である場合には、薬物療法が中心になります。手術を受けても血圧が正常化しないことはありますが、薬物療法の効果が出やすくなります。
薬物療法ではアルドステロン作用を阻害する薬剤を用いますが、男性が使用すると乳腺の張りや痛みが起こることがあります。

クッシング症候群

原因は、副腎皮質の腫瘍からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されて起こります。クッシング病では脳の下垂体にできた腫瘍が原因になりますが、やはり主にコルチゾールの過剰分泌がおこるため、症状も似ています。
クッシング病と似ている病名の通り、同じような症状が現れます。
頬がぱんぱんに膨らんで見える満月様顔貌、にきび、頬・首・鎖骨の上・お腹など体の中心部の肥満などが起こり、皮膚が薄くなって傷がつきやすくなり、あざもできやすく、むくみなども起こります。またうつなど精神的な症状が現れる場合もあります。腎臓結石や骨粗しょう症、消化性潰瘍、高血圧、糖尿病を合併することが多く、結石による血尿や骨粗しょう症による骨折なども起こりやすくなります。また、感染に対する抵抗力が弱くなるため重症化しやすく、高血圧や糖尿病の治療が困難なケースもよくあります。うつなどの症状も起きやすいため、積極的な治療が重要です。
可能であれば外科的な治療を行います。副腎は片方を摘出しても、もう片方が正常に働けば機能低下を起こすことはありません。
手術が可能ではない場合には、副腎皮質ホルモン合成阻害薬などによる治療を行います。ただし、薬物治療にはあまり効果が期待できないため、手術が第1選択となります。手術後は、正常なホルモン分泌が回復するまで糖質コルチコイドの内服が必要です。

褐色細胞腫

副腎髄質の腫瘍が主な原因となっており、血圧を上昇させるアドレナリンなどのホルモンが過剰に分泌されて症状を引き起こします。腫瘍が圧迫して急激なホルモンの大量分泌が起こると、発作的な症状が現れます。副腎以外の組織が原因で起こることもまれにあるとされています。
高血圧や糖尿病を合併することが多く、発作的な血圧上昇、頭痛、動悸、顔面蒼白、冷や汗などが起こる場合があります。検査精度が上がってきた昨今は、自覚症状がない状態で偶然、副腎腫瘍が発見されて診断につながることもあります。
腫瘍がとても大きいことが多く、手術が第1選択となります。褐色細胞腫では血管内を流れる血液量が大幅に低下しているため、降圧剤の服用により血管を拡張させ、血液量を増加させてから手術を行うことが重要です。輸血が必要になるケースは依然として多いのですが、こうした準備によって輸血を必要とせずに手術ができるケースも増えています。

副甲状腺機能亢進症

多くの副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺の良性腫瘍が原因で起こっています。副甲状腺機能亢進症になると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて骨が溶かされ、血液中のカルシウム濃度が上昇して尿中へのカルシウム排泄量も増加します。これにより、高カルシウム血症、骨量の減少、腎臓結石や尿管結石(カルシウム結石)が生じやすくなります。
ほとんどの場合、症状はありませんが、進行して高カルシウム血症を発症すると消化性潰瘍、便秘、食欲低下、イライラ、うつ、多尿などの症状が現れる場合もあります。
骨粗しょう症や腎臓結石の検査で血液中のカルシウム濃度の上昇が確認されて発見されることがあります。一般的な健康診断では血中カルシウム濃度の測定を行わないため、肝機能検査のALP(アルカリフォスファターゼ)が高いことから精密検査を受けて発見されることもあります。ALPは肝臓以外に骨でも作られるため副甲状腺機能亢進症になると数値が上昇します。
手術で良性腫瘍を切除することで治療が可能であり、98%以上はこれで改善する可能性があります。なお、副甲状腺は4つありますので、1つを切除しても問題はありません。ただし、特殊なケースとして4つの副甲状腺すべてが腫れている場合もあり、その場合にはいったん全部を切除して一部を腕の内側に移植するなど、手術方法をしっかり計画する必要があります。まれですが副甲状腺がんの可能性があり、その場合には手術後に再発する可能性もあります。
服薬など保存的な治療法はなく、この手術により骨量の増加、高カルシウム血症による症状の改善も期待できます。腎臓結石、尿管結石、骨粗しょう症がある場合には特に手術が必要とされます。
手術が可能ではない場合には、骨量の低下を防ぐ治療が重要になってきます。また、尿中のカルシウムを薄めて結石を作りにくくするために、できるだけ多くの水分をとるよう心がける必要があります。

骨粗しょう症(骨粗鬆症)

骨粗しょう症骨粗しょう症(骨粗鬆症)を発症すると骨折しやすくなるため、骨折が寝たきりにつながりやすい高齢者は注意が必要です。特に女性は閉経を迎えると骨密度が低くなって骨粗しょう症を発症しやすいため、最近では健診などで骨密度測定がかなり一般的に行われるようになってきています。
身長の低下、腰痛、背部痛などがよくみられる症状であり、ちょっとつまずいただけなのに骨折するようなことがあれば骨粗しょう症の可能性が高いと言えます。
骨は常に代謝されており、骨吸収で溶かされ、骨形成で作られることを繰り返して新しい骨に作り替えられています。なんらかの原因により骨形成が骨吸収に追いつかなくなると骨の量が減少していきます。
そして、骨の量は30歳頃に最大になり、50歳を超えた頃から減少していきます。女性は閉経により骨量を維持する女性ホルモンのエストロゲンが減少して骨量も急激に減少する傾向があります。男性の場合も、男性ホルモンから作られるエストロゲンが低下すると骨量が減少するため、加齢による骨粗しょう症が起こります。
骨量が低下すると骨折を起こしやすくなり、腰痛や背中が丸くなる症状を起こす脊椎骨の変形も骨粗しょう症による骨折に含まれます。
骨粗しょう症リスクが高いのは、両側卵巣摘出術やホルモンの病気などによる早期閉経、血縁者に骨粗しょう症の方がいる、若い時から痩せた体型である、過剰なアルコール摂取、ステロイド内服などがあります。
骨密度測定により骨粗しょう症の診断は可能ですが、他の病気が隠れている可能性もありますのでこれ以外の検査も行って慎重に見極める必要があります。
治療は骨折の予防がもっとも重要であり、十分なカルシウムとビタミンDの摂取、生活習慣の改善、薬物療法などを組み合わせて治療します。毎日15分程度の日光浴、適度な運動により筋力を維持して身体のバランスを保つこと、アルコールを控え、禁煙することも重要であり、魚などでカルシウムをしっかりとるなどトータルな生活習慣の改善も心がけてください。

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